「私が塾長山田昭男氏から学んだこと」

ふくおか未来塾事務局

2011年05月23日 18:47

ふくおか未来塾 第1期が終了して
イシカワ経営企画研究所
代表 石川元則 氏

















 去る5月9日「ふくおか未来塾」第1期が終了した。山田昭男塾長(未来工業・創業者)から何を学んだかを考えてみる。


 一番は、岐阜へ本社を訪ねたこと。
聞くと見るとは大違い、という言葉があるが、実際に訪ねて驚いたのは聞イタことより“凄イ”と内心唸っていた。これまで講演を聴き、マスコミの記事を読み、塾長の著書を読んでいて、(なるほど、そうれはそうだ)これなら社員たちも喜んで働くだろう、位にしか考えなかった。


 しかし、迎えて頂いた阪本課長の話しを聞きながら社内を案内して貰い、私たち一同は一歩足を踏み込んで…、えっ、と大いなる違和感を感じた。どうしてなら上場企業の会社の玄関がぼんやり薄暗く、ぱっと電気を点けたのは坂本課長だったから。


 2階の事務所も廊下も真っ暗、案内す阪本さんが点けては消した…。工場へ入ってまたまた驚いたことは、徹底したオートメーション化。ロボットがモノを造っているのだ。会社のどこかしこに貼られた看板には「常に考える」とある。「何故?なぜ?ナゼ?」とも、ある。少人数で幾つものラインが管理できるよう設計され、それでも改善を求めていた。


「私達の職場では、いつもたくさんの提案が出ています」とイラスト入りでぶら下がっている。ここでは会社のため、みんなのためのどんな提案にも1件につき500円が支払われ、最も多い社員は年数百件も出す、というではないか。いったいどんな頭を持ったひとか?会ってみたい気が起こった。


 山田塾長の言う「差別化」である。


 (ケチだなぁ…、大会社がここまでして)という気持ちが吹っ飛んでいた。創業から46年、ここまで来るのに並大抵なことでは出来あがらなかったに違いない。もし、この記事を読んで、明日から社内の電灯を消してみたらいい。どんな事が起こるか、実践したら直ぐに答えが出てくるだろう。これまで私は昼食時に電灯を消している会社は多く見てきた。


 あるいはまた、数百人の会社にコピー機が1台しかない、ということをどう考えるか。これまた幾つかあるコピー機を減らしてみたらいい、それを山田創業者は徹底して実践してきたし、これからも永久に続くに違いない。


 この差別化を裏打ちするのが「何故なぜナゼ」の「常に考える」である。


ナゼ、何のために電灯を消すのか、コピー機は1台でいいのか、そこから何を導き出すのか、まぁ、おそらく初期の社員たちの常識を覆し、悩ませたに違いない。その悩む姿をまた楽しんでいるのも創業者だったろうと思う。


 毎月1回、山田塾長は80歳の体一つで福岡へ来られ、翌日は沖縄へ。あるいはその逆コースもあるのだが、テレビで観る姿そのもので実に飄々としていて、見る人がみると、どこにもいるお年寄りである。
この人が講座に入り、佳境に入ると、


















 会社は何のためにあるか?
 何のために会社を創ったか?
 何のための経営か?とくる。あなたはどう答えますか。


「会社は儲けるためにある」「儲けたいから会社を創った」「儲からなければ経営ではない」、答えは明快で胸を衝く。それなのに、我が国は世界へ出て、世界一優秀な製品を世界一安く売り、儲けないでいる。それはナゼか。


 大企業はそれでいい。
しかし、中小零細企業はどうか。大企業の真似をして価格競争を繰り返しているではないか。未来工業はこうしたバカなことはしない。どうしたら1円でも高く売れるか、それだけを常に考えている、と訓える。


 ここに私は諸手を挙げて賛同する。(そうだそうだ、その通り)と喜んでいる。
事実、私の知る50席程度の居酒屋の亭主は大手チェーンと競争し、その時は「食材も価格も負けていない」と、手を叩いて笑いながら…、支払いに汲々しているのはどうしてか、何百何千という席数の店と50席ではハナカラ問題にならないではないか。例え話をしても、それを解ろうともしない。これでは、何のために店を始めたのか、という一から問い直さなければならない。


 早いもので、年に数回の公開講座を含め1期1年が終わり、6月20日(月)より第2期が始まる。おそらく、より実践的になる。ナゼなら、参加する塾生たちの会社がよくならないではないか。知行合一、山田塾長から学びつつ実践していく。幸いに第1期でも数社が「常に考える」と自社に活かしている。
 本当に儲けて、社員たちに喜びあふれる会社づくり、このことを真っ先に世界に先んじ46年も前から実践しているのは山田自身である。私たちは恵まれたことに傍に寄り添い実際を学んでいる。


 これより、第2期塾生を募集します。


 飛び込んできて学んでほしい。そして一緒に岐阜へ行きましょう。世の中にはこんな会社があり、こんな創業者がいて、こんな熱き想いがあることが判る。ここに生きた学びがあると信じる。
 山田昭男塾長には、どうか長生きして頂き、全国を飛び回ってご指導と遊び心を教えて貰いたい。出来たら我が故郷沖縄へも同行したい。


 今年90になる、黒瀬昇次郎翁は、
「儲け切らない経営者は失格だ。たくさん儲けて、儲けに儲けて社会に還元したほうが気持ちがよかろう」「儲けきれなかったら、どんなにヤリタクトモ、ヤレナイではないか」と、いつだったか旅の途中の機内で私に言った。(終り)

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